実在主義

19世紀中旬に、デンマークの哲学者キルケゴールの提唱した実存とは、真実の存在という意味で、ヘーゲル学徒であったキルケゴールは、ヘーゲルのいわゆる矛盾の統一としての存在を、どれも統一した存在でしかなく、したがって真の矛盾ではないと批判し、実存は二者択一することを迫る決裂的な予描でなければならぬと考えました。よって、あら ゆる融和を否定する矛盾を含む存在は、実践的に生きるもののみが獲得します。そしてこの実践的択一は神に向けて自己を放棄することによって行なわます。つまり堕落した世紀末的キリスト教を原始の姿に帰すための実践を要求したものなのでした。しかし、客観的に見れば、当時の社会主義的高揚におびえ知識人的不安の表明でももありました。同じような客観情勢が現われるたびに実存思想が台頭するのはこの理由によります。第一次大戦後には、キルケゴールの系統を引くシェストフ、ベルヅヤエフ、ギストエフスキー、ハイデッガー、ヤスパースなどが流行しましたが、第二次大戦後にもまた、サルトル、ポーボアール、メルロ・ポンチなどが迎えられていました。

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