ニヒリズム

ニヒリズムとは虚無主義と言う意味で、人生の無自的、無価値を確信するため、一切の社会的政治的権力を呪い、一切の知識と規範と法則と秩序を否定します。よってニヒリズムの台顕する基盤は、独裁的弾圧や道義的荒廃が社会の全面を覆うことにあります。単なる厭人や厭世によってはニヒリズムは生まれず、社会的退廃が温床となります。つまり健全な価値体系が崩壊したり、理性の筋が通されなくなった時が、最も適した時期ということになります。このようにしてニヒリズムは、気分的な要素が多く、理論としては自己矛盾を含んでいます。もしその意義を認めるとすれば、破壊による変革を準備するための気分的基盤を作る点にありますが、ニヒリズムそれ自身には破壊の後を収捨する建設性はありません。つまりあくまでも過渡的な性格ということになります。第一次大戦後には、キルケゴール的ニヒリズム、シェストフやハイデッガーの虚無思想、ニーチェの没価値論が流行しました。第二次大戦後にも価値の一般的崩壊や、社会主義への個人主義的抵抗としての無の思想、実存主義が多くの若い世代を魅しつつあるのはこのためでした。

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