功利主義

功利主義とは近代で発達した倫理思想で、功利は幸福のため、幸福は快楽のために存在すると考え、快楽が人生の終局目標です。よって快楽主義の一変種となります。快楽主義と異なるところは、主として社会的功利を説き、個人の功利と快楽とは、それを社会の功利に調和させるとき目的を達することができると主張した点があります。だから社会功利説とも言います。その代表はべンタムであり、ベンタムは最大多数の幸福を願う個人の功利は、同時に、社会の幸福と一致すると言い、最大多数の最大幸福が人間倫理の終局目標であると言いました。J・S・ミルも、ベンタムを修正しながら、快楽であるかないかを測るより、常識に備わった善悪の判断を信頼し、自利と他利とを調和させる社会的同情心の尊さを強調しました。そして、もし不調和があれば、それを打破するのが、教育と立法の役目であると考えました。功利主養の根底には、いわゆる自由主義がありました。個人に対する、国家社会の干渉をできるだけ少なくし、各人の功利追求を放任せ、そうすれば見えざる神の手が、社会と個人との不調和をほどよく調整してくれるという、自由主義の精神がなければ、大胆に個人功利の社会功利との一致を説いて、功利を追求せよとは主張できないはずだからです。功利主義は、資本主義社会では利己主義に頼らざるをえない運命にありますが、社会主義社会では、社会功利主義として実現されるということは、倫理的には言うことができます。しかし現実にはまだ埋論との間の距離は小さくありません。

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