進化論

世界の本源を一元とするにせよまた多元とするにせよ、それは元来、固定的な世界観となることしかできず、流動する世界を捉えられませんでした。この欠点を補うために現われたのが進化の思想です。これは、人間、自然、歴史、社会、そのすべてについて、低段階がら高段階への発展を認め、そして世界の変化の姿のまま提えようとしました。最初は、生物学的進化論としてダーウィンの創唱したものですが、単に生物学的自然のみならず、人間精神や社会発展の説明原理にまで押し広めたのはH・スペンサーでした。進化を測るためには一定の価値標準が必要であり、生物では適者生存や自然淘汰などによって進化の測定が可能とされましたが、同じ標準を道徳や社会に持ち込むことはできません。自然についてすらこの標準はすでに認められなくなっていますが、社会では、こうした外からの標準を押しつけることは科学的ではありません。社会の進歩は、社会に内在する原理によって把握されるべきであり、この点を一歩前進させたのが、史唯物論として歴史的社会に適用された唯物弁証法でした。

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