一元論と二元論

存在する世界の究極のもとが、一つの物から出ているとする世界観を一元論と言います。そして一つの物を精神的存在とすれば唯心論となり、物質だとすれば唯物論となります。前者の代表には、絶対精神を世界の唯一の本源とするヘーゲルの観念論や、意志を本源とするショーペンハウエルの主意説があります。後者の代表としては、古くはデモクリトスの原子論的世界観、新しくはマルクス、レーニンの史的唯物論などです。自然科学者もまた唯物論的一元論の立場に立ち、析衷的な形としては物質と精神とを、それ以上に高い神の属性として、神を本源だと唱えたスピノーザ主義があります。
二元論とは世界の本源をなすものが二つあるとする世界観で、デカルトの形面上学が、その代表的なものです。二つの実体、つまり精神と物質とに、それぞれ絶対的な独立を認めるのが、二元論の特徴です。デカルトによれば、精神は思考する実体でず、物質は延長をもつ実体と規定され、その間になんらの媒介も許されない二元論は、元々一元論の欠陥を救うえめに生まれたものであったにもかかわらず、デカルトにおいてみられるように、二者間の無媒介性という特徴のために、精神と物質との合一体としての人間存在を、その結合性において説明することができず、再び一元論的なスピノーザ主義に還元せざるをえませんでした。この他にも天国と地上、善と悪といった二元によって世界現象を把握しようとする傾向も二元論と呼ばれることもありますが、本源は唯心論的一元論です。

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